コインパーキング経営を法人化する

目次

コインパーキング経営を法人化する際にはどのようなメリット・デメリットがあるのか解説します。また、法人化を検討している方に向けてその流れについてもご紹介しますので、併せて参考にしてみてください。

コインパーキング経営を法人化するメリットとは

まずはコインパーキング経営を法人化する5つのメリットから確認しましょう。

1.所得税が節税できる

1つ目は所得税や住民税などの税金が安くなることです。ただし、駐車場経営の収入にもよる点は注意が必要です。特に、所得税に課される税率が個人事業と法人では異なるため、見極めの際にご確認ください。

ちなみに、個人事業は課税対象となる額が高くなるにつれて所得税率が高くなる累進課税です。一方の法人は、所得に対して課税される法人税、住民税、事業税の表面税率に対して課される実効税率が採用され、税率はおおむね30.62%程度です。

個人事業の際の税率と比較してみましょう。

課税される所得金額 所得税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

参照元:国税庁公式HP/No.2260 所得税の税率

個人事業の場合、所得税の最高税率が45%に加えて住民税が10%課されるため、最高税率は55%。コインパーキング経営だけ、もしくは他の所得も加えて4,000万円以上の収入がある方は最高税率が課されることになります。

つまり、個人事業の方の課税所得が9,000,000万円以上が法人化を検討するタイミング。法人の場合の実効税率30.62%と比較すると、住民税の10%が加わることで合計税率が43%となるため、節税効果が高くなります。

2.相続時の利点が増える

2つ目は、相続時に得られる利点が増えることでしょう。

土地を個人保有から法人へ譲渡することで、相続時の土地の扱いが株式となります。そのため、複数の相続人への資産分割がスムーズとなるでしょう。一方、個人保有だと売却し換金するか、分筆を行い登記しなおさなくてはいけません。

また、個人保有の場合、相続税が発生し、せっかくコインパーキング経営で収益が出ても、そこから支払う必要があります。しかし、法人化しておけば相続人である子どもや孫などを法人の役員に就任させ、役員報酬を支払えば、資産である土地をスムーズに相続人に移転できます。資産が移転されたことで、課税評価額も減少し、支払う相続税も少なくてすむでしょう。

3.経費の範囲が広がる

3つ目は、経費の範囲が個人事業よりも広がる点です。

たとえば、家族に支払う給与や退職金が適正額の範囲内であれば、経費として計上できます。個人事業の場合は、給与を経費にするためには事前に税務署への届出が必要となり、退職金は対象外です。

さらに、全額は難しいですが生命保険料を経費計上することで、個人事業の生命保険控除よりもメリットが高くなるでしょう。

4.繰越欠損金の繰越期間が長い

4つ目は、税務上の赤字である繰越欠損金の繰越期間がのびることでしょう。

個人事業では、赤字の繰り越しは3年間。4年目以降は赤字が残っていても持ち越しができません。しかし、法人にすることで10年間に延長されます。ただし、控除限度額が繰越控除前の法人所得金額の50%と決まっている点には注意が必要です。

5.退職金制度が利用できる

5つ目は、退職金制度が利用できる点でしょう。

口座にあるお金を自分のものにするためには、給与や役員報酬として受け取ることとなります。その場合、収入が増えるため所得税が高くなってしまいます。しかし、法人化し退職金として受け取れば税率は格段に安くなります。

コインパーキング経営を法人化するデメリットとは

コインパーキング経営を法人化することはメリットだけではありません。3つのデメリットについても知っておきましょう。

1.法人設立や維持に費用がかかる

1つ目は、法人の設立や維持に費用がかかること。

法人設立は司法書士などに依頼するため、その費用や登録免許税などの費用として30万円前後の費用が発生します。

また、税務署に提出するさまざまな書類を作成するために、顧問税理士に依頼することも多いでしょう。そうなると、月々の顧問料と決算時の申告費用が別途発生し、年間70万円程度は必要となります。

さらに、万が一経営が赤字であっても、住民税の均等割額が発生し、7万円程度は納税が必要となるなど、個人事業時には不要であった費用がかかる点はデメリットでしょう。

2.帳簿などの事務作業の煩雑化

2点目は、帳簿づけなどの事務作業が煩雑化することです。

個人事業で青色申告をしていた方であれば、そこまで苦労しないかもしれませんが、個人ではない仕訳も増えます。また、事務作業を委託すると人件費もかさんでくるでしょう。

3.手間が増える

3つ目は、役員を改選する手間があることです。

株式会社の役員は人気があるため、満了すると役員改選が必要です。その際には、株式総会議事録の作成や重任登記などにともない、再度同じ人を役員にするなど継続するにしても、司法書士に依頼する必要があります。手間だけでなく費用も発生するのはデメリットでしょう。

コインパーキング経営を法人化する流れ

法人化する際には5つの手順を踏む必要があります。

株式会社にするか合同会社にするかは、所得金額や事業の規模、今後の展望も考慮して決める必要があります。ただし、合同会社は初期費用こそ抑えられますが、相続時に資産分割するメリットは得られません。

また、定款の作成は基本的に司法書士と相談しながら決めることとなるでしょう。法人用の口座を開設するにあたって、会社の実印や契約印も早めに作っておくことをおすすめします。

法人開設には、3週間から1ヶ月程度かかる点も知っておきましょう。

さらに、開業手続きが完了したら忘れずに、関係各所に連絡することと、土地に関する賃貸借契約もしくは売買契約を集結する必要があります。

コインパーキング経営のコツ こうすれば会社選びで失敗しない

コインパーキング経営は、個人事業で行う場合と法人化する場合でさまざまな違いがあります。最も大きな所得税の節税は見逃せません。課税所得などを日頃からチェックしておき、法人化するタイミングが来ていないか確認しておくことをおすすめします。

しかし、法人化して運営していくのにはリスクも付きまとい、多くの手間が発生するでしょう。そこが面倒であれば、専門家に任せるのが安心です。その際には、丁寧なサポートや積極的な営業活動を行ってくれる会社を選ぶことが安定した収益を確保する秘訣です。

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